ギャルリー東京ユマニテ 個展
「降河回遊」

2005年 12月5~10日

ギャルリー東京ユマニテ 個展「降河回遊」向山裕

 

ギャルリー東京ユマニテ 個展「降河回遊」向山裕 ギャルリー東京ユマニテ 個展「降河回遊」向山裕

 

 向山裕が描く、まるで図鑑にでも登場しそうな写実的な生き物たちは、しかし紛れもなく絵画という虚構の世界の住人である。彼らは静寂に包まれた空間の中で、身じろぎもせずにこちら側から注がれる好奇の眼差しにその姿を晒している。
 一方、絵と対峙する我々は、その滑稽で哀れなさまに苦笑しながらも、同時に、彼らから見たら人間という存在もまた、同じように奇怪な生物なのかもしれないなどと想像してしまう。  たしかにリアリティに乏しい我々の人生と、絵の中の架空の生き物たちとでは、不確かさという点では同じ地平にあるのかも知れない。そのうちに向山の絵にも裸の人間が登場したりするのだろうか。
 画家はそんなイメージの世界にリアルな実在感を与えようと筆を動かす。向山も画家としての自己の衝動に正直に、これからも執拗なまでに描きたいものを描き続けていくのだろう。ならば、その姿勢をずっと貫いてもらいたいと期待する。


国立国際美術館/安來正博


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