向山氏は、1984年大阪府に生まれ、2004年に大阪美術専門学校絵画専攻卒業後より個展やグループ展を中心に作品を発表されています。
油彩には、うなぎ・たこ・海ほたるといった海洋生物を主題とし緻密かつ繊細にキャンバスに描きながらも、その構図においてどこか詩的であり物語性を多く含ませる表現に一般的な「具象」とは違う角度での試みが見て取れます。
この詩的であり物語性を感じさせる表現は、向山氏の描く光や情景、そのモチーフとの関係性に、言葉や詩(うた)においての感情を現す「間」にも似た極端に客観視された空気感を含ませることにより画面の関係性をより情感的な表現へと昇華させています。
今展は、「遠雷・黒点」と題し、これまでの評価の高い海の生物をモチーフとした作品のほかに、初の試みの「気球」「落下傘」をモチーフとした平面や新作の立体を発表するなど新しい方向性をうかがわせる作品を展観いたします。新しい表現としての「企み」にも似た「試み」をこの機会にぜひご高覧ください。