スクリュープロペラ

2008年9月14日

 スクリューの研ぎ澄まされた姿が好きだ。人工物ではあるが、あの翼の曲線は人が創造したわけではない。水は方円の器に従うというが、「方・円」にあたる部分にたとえば「推進」を代入したとき、天然自然からあの形が生じる。曲線の根拠は「水」そのものといえるだろう。


 たとえば人が詩作する際、行間に言語化できない情緒を宿らしめるためには、行間を形作る具体的な言語を用いる。この言語は情緒の解説などではなく、情緒を呼び起こす手がかり、きっかけのようなものだ。


 私の、絵を描くときに目指している感覚が、これに似ている。詩性という不可視のものを表すのに、具象というはっきりと目に見える表現を用いている。無形の存在を、有形物の浮き彫りで取り出す。具象という描法は、詩性の具現化に優れた力を発揮する言語なのである。


 冒頭の話、スクリューは水という無形の存在を「推進」を手がかりに有形で表現したと云える。硬い金属でできたスクリューに流動する水を見ることができる。美観を求めていないにも関わらず、美的になるのは、天然自然の解に相当接近している証拠ではないだろうか

※ スクリュープロペラ (Screw propeller)
回転する軸に取り付けられた翼が、連続的に水をかくことによって推進力を得る。蒸気機関が、船舶の推進力として利用されるようになってから発達を続け、さまざまな研究開発の結果、現在の姿となった

スクリュープロペラ Screw propeller


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